最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)2447 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人正岡正延の上告趣意は、末尾の書面記載のとおりである。
原判決が第一審判決挙示の各証拠を綜合して認めたところによると、被告人Aは、
B、C及びD某と犯意を共通し、E方において同人に対し他の三名と交々「御馳走
を出せ」「芸妓を呼べ」等と申向け、Bは茶碗の酒を台所の方にあけ、D某は所携
のナィフを取出し「こんなものを持つている」旨申聞け、被告人Aまた所携のナィ
フを畳に突刺す等の所為をなし、Eをして被告人A等の要求に応じ芸妓を呼ばない
ときはどの様な危害を加えられるかも知れぬ旨畏怖せしめ、因つて同人をしてFか
ら芸妓二名を呼ばせてB、Cの両名に遊興費二千円に相当する遊興をさせて右両名
に財産上不法の利益を得させたというのであつて、第一審判決挙示の証拠によれば、
右のように認め得られるのである。されば、被告人Aが他の三名と共謀の上、被告
人A自身においても恐喝罪の実行行為たる脅迫の所為に出ていること明らかである
ので、右の脅迫に基因して他の共犯者のみが不法に利得した結果についても、被告
人Aに罪責のあることは言うまでもない。そして、原判決は、被告人Aに共謀のな
い事実についても共同正犯としての罪責があるとしているわけではないのであるか
ら、原判決は所論判例と相反する判断をしているものではない。所論は結局、共謀
の点に関する事実誤認の主張に帰し、適法な上告の理由に当らない。なお、論旨中
には、原判決が憲法三一条に違反するとの主張もあるが、その実質は、単なる訴訟
法違反の主張にほかならないから、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。また、
本件につき刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。
よつて、刑訴四〇八条に従い、裁判官全員の一致した意見で主文のとおり判決す
る。
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昭和二七年三月二五日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
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